コレステロールと聞くと、動脈硬化や心臓病、肥満などを引き起こすイメージがありませんか?血液検査を行った際、血中のコレステロール値が高いと気になるものでしょう。とはいえ本来コレステロールは重要な役割を担っています。私たちの体は50兆個を超える細胞から構成されているのですが、この細胞を守っている「細胞膜」の原料こそがコレステロールです。さらに、体内で生成されるホルモンやビタミンDの原料もコレステロールです。つまりコレステロールそのものは悪者ではなく、むしろ私たちの体に欠かせない栄養素なのです。
知って納得!コレステロールの基本①
血中のコレステロール値を気にして、肉や油を避ける人も多いはず。しかしコレステロールは完全なる悪者というわけではありません。今回は、コレステロールが持つ本来の役割について解説していきます。
コレステロールは体に必要不可欠な物質
コレステロールが嫌われるようになった理由
戦後のアメリカでは心筋梗塞による死亡者数がとても多く、原因の調査が行われました。その結果「家族性高コレステロール血症」の一群で心筋梗塞の発症率が高いと判明したのです。そしてその一群に肉・油を口にしないよう指示すると、血中のコレステロール値が一時的に下がりました。こうした背景から「コレステロール値が高い=心筋梗塞(動脈硬化)を起こしやすい」「肉や油を食べなければコレステロール値は下がる」という説が出来上がってしまったのです。
食事でコレステロール値は増減しない!
食事制限でコレステロール値が下がるのは一時的なものです。
「なぜならコレステロールは私たちの体の細胞やホルモンをつくる大切な栄養素ですので、そのほとんどは肝臓で合成されるからです。余ると胆汁酸として腸管に排泄し、不足するとまた腸管から再吸収され、常に一定値を保っています。これを「腸肝循環」といいます」(南雲吉則「エゴマオイルで30歳若返る」)。つまり肉や油を摂取したとしても、血中のコレステロール値に大きく影響することはありません。
「コレステロール値は低い方が良い」は間違い
多くの人に悪だと思われているコレステロールですが、一定の値を下回ると、神経伝達の不調やED・不妊症などのリスクが高まります。最近の研究では、血中のコレステロール値が低い人ほど死亡率が高いことがわかりました。むやみにコレステロール値を下げることが健康をもたらすとは限らないのです。「コレステロール値が高い=病気になりやすい」と思っていた人は驚いたことでしょう。次回は動脈硬化の本当の原因について言及していくので、ぜひそちらもご覧ください。